採用の現場で EQ(感情知性)を測定しても、その数値を判断材料に変えるには「平均」を知らなければ始まりません。国際的なEQ尺度は平均100・標準偏差15に標準化されており、166か国28,000人を対象とした調査では、この5年で世界平均が5.79%低下したことが報告されています。一方で「営業なら何点、エンジニアなら何点」といった職種別の平均は、探しても信頼できる公表データが存在しません。だからこそ基準は借りてくるものではなく、自社でつくるものです。本記事では、まず世界と日本の平均データを整理し、次に既存社員の測定結果から自社ベンチマークを作成して、一次スクリーニングやチーム配属に組み込む手順を解説します。さらに、ピアフィードバックや感情ジャーナリングといった小さな組織施策で EQ 平均を底上げし、採用ラインを年々引き上げる好循環を生み出す方法も紹介します。読み終えたときには、EQ 平均を採用 KPI に組み込み、離職率とチームパフォーマンスを同時に改善するための具体的な次の一手が見えているはずです。
EQ平均はいくつ? ── 世界・日本の最新データと、職種別基準のつくり方

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先に答え: EQ(感情知性)の平均は、国際的な標準尺度(SEI)では100に標準化されている(標準偏差15)。日本は2018年の国別比較で世界最下位と発表されたが、国別の平均点そのものは公表されていない。「営業なら何点」といった職種別の平均にも、信頼できる公表データは存在しない。
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 世界平均 | 100(SEIの標準得点。標準偏差15) |
| 日本の位置 | 2018年国別比較で世界最下位(平均点の数値は非公表) |
| 直近の傾向 | 2019→2024年で世界平均5.79%低下(166か国・28,000人) |
| 職種別の平均 | 信頼できる公表データは存在しない |
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1. EQ平均とは?基本の3指標を押さえる
1‑0. そもそもEQ(感情知性)とは
EQとは、自分と他者の感情を認識し、行動や意思決定に活かす力のこと。当サイトの診断やタレントアセスメントZenTestでは「自己・対人関係・集団と社会」の3構成要素/12中項目に分けて測定する。定義や構成要素の全体像はEQ(心の知能指数)とはにまとめてあるので、この記事では「平均」と「基準のつくり方」に絞って解説する。
1‑1. EQ平均(Mean)
組織またはチーム全員のEQスコアを合算し、人数で割った中心値。採用では「最低限確保したい感情知性レベル」の目安になる。
1‑2. EQ中央値(Median)
スコアを並べて中央に位置する値。外れ値の影響を受けにくく、実感に近い典型値を示す。
1‑3. 標準偏差(SD)
ばらつきを数値化する指標。SDが大きいほどメンバー間のEQ差が大きく、マネジメント難度が上がる。
採用Tips
- 一次スクリーニング:平均−1SDを“最低通過ライン”に
- 最終選考:平均±0.5SDを“要検討ゾーン”に設定
2. 世界・日本・職種別EQ平均スコア
2‑1. 世界平均EQ
国際調査(Six Seconds “State of the Heart”)では、EQスコアは平均100・標準偏差15に標準化されている。つまり「100が世界平均」であり、85〜115のあいだにおよそ3人に2人が入る。
同じデータセットを用いた査読論文(Freedman et al., Frontiers in Psychology, 2025)は、166か国・28,000人を対象に2019年から2024年の変化を分析し、世界平均が5.79%低下したと報告している。とくに落ち込みが大きいのは楽観性(−8.04%)と感情のナビゲート(−5.91%)。この継続的な低下が“感情不況(emotional recession)”と呼ばれている。
2‑2. 日本人のEQ平均
同調査の国別比較(2018年版・160の国と地域)では、日本は世界最下位と発表された。ただし発表に含まれるのは順位までで、日本の平均スコアの公式な数値は公表されていない。ネット上で見かける具体的な点数は、出典をたどっても発表元の資料に行き着かないため、本記事では順位だけを事実として扱う。
なお、これは2018年時点の発表である。国別の順位は年ごとに入れ替わるうえ、日本語話者は自己評価型の設問で控えめに回答する傾向が指摘されており、国際比較の順位をそのまま「日本人の能力が低い」と読むのは適切ではない。
2‑3. 職種別の平均は、公表データが存在しない
「営業なら◯点、エンジニアなら◯点」という職種別の基準値を探している方が多いが、信頼できる公表データは存在しない。
前述の28,000人・166か国という世界最大級の調査ですら、内訳として公表しているのは性別・年齢・地域の3つだけで、職種別の平均は出していない。論文自身が、標本がリーダーシップや人材開発に関わる層に偏っている可能性を限界として明記している。
職種別の数字がネット上に流通していることはあるが、出典をたどると元データに行き着かないことがほとんどなので、採用基準の根拠に使うべきではない。
そもそも職種別の平均には、基準として使いにくい理由が2つある。
- テストが違えば絶対値が違う。同じ「EQ 100点」でも、尺度が違えば意味が違う。当サイトの無料EQテストも0〜100で表示するが、これは偏差値ではなく素点の変換値で、上のSEIの100とは別物である
- 同じ職種でも、事業モデルによって必要な力が違う。たとえばカスタマーサクセスでも、解約防止が主務のチームと拡大提案が主務のチームでは、効く力が「共感性」寄りか「アサーション」寄りかで変わる
→ だからこそ、借りものの基準値ではなく自社のデータで基準を作る。その手順が次章。
2‑4. テストによって「平均値」は違う ── 自分のスコアの読み方
「eq 平均値」を調べる人の多くは、すでに何かのテストを受けていて自分の点数がどの位置なのかを知りたいはずだ。ここで注意したいのは、テストが違えば「100」の意味も違うこと。
| 方式 | 代表例 | 「平均」の扱い |
|---|---|---|
| 標準得点型 | SEI(Six Seconds) | 平均100・標準偏差15に統計的に変換。100=受検者全体の真ん中 |
| 素点変換型 | 当サイトの無料EQテスト | 回答の素点を0〜100に変換。偏差値ではないので「50=平均」ではない |
| 領域レーダー型 | ARealMe(48問・6領域) | 領域ごとのバランスを見る設計で、総合点の絶対値比較には向かない |
| 能力検査型 | MSCEIT | 設問に正答が存在する別方式。自己申告型と点数を比べられない |
つまり「平均100だから、自分の92は平均以下」という読み方は、同じ尺度のテスト同士でしか成立しない。まず自分が受けたテストの方式を確認すること。主要サービスの方式と料金は国内EQテスト比較と無料EQテスト7選で整理している。
3. 社内ベンチマークを作る3ステップ
Step 1. 既存社員でEQマスターデータを取得
- 対象:50名以上推奨(母集団が大きいほど誤差が縮小)
- 切り口:部門・職種・等級・勤務地など
Step 2. ハイパフォーマー基準を抽出
- 過去2年の人事評価上位25%をハイパフォーマー群として分離
- その平均値をゴール値(Target Mean)に設定
Step 3. ダッシュボード化&四半期更新
- Power BI などに 平均・中央値・SD を可視化
- 四半期ごとに最新データでベースラインを再計算し、市場変化や組織編成に柔軟対応
4. 採用基準ラインと配属アルゴリズム
4‑1. 採用スクリーニングモデル
- 一次選考ライン:社内平均−1SD
- 最終選考ライン:ハイパフォ平均±0.5SD
- 面接では低スコア要素を深掘りし、他指標(SPI/面接評点)と総合判断
4‑2. 配属アルゴリズム(平均×補完性)
- チーム平均EQと候補者EQの差分(Δ)を計算
- Δ>+1SD → リーダー候補として配置
- |Δ|≤0.5SD → 標準配置で早期適応を狙う
- Δ<−1SD → メンタリング強化+90日トレーニング必須
この配置ロジックは、EQの高低を合否ではなく「どのチームで力を発揮しやすいか」の判断に使う考え方です。たとえば対人コントロールやストレス耐性が低めに出た人を、支援の手厚いチームや安全管理の体制が整った現場に配置する、といった使い方になります。
5. EQ平均を押し上げる組織施策
| 施策 | 効きやすい要素 | 実行ヒント |
|---|---|---|
| ピア・アプリシエーション | 共感性・愛他心 | Slackで週次「感謝シャウトアウト」 |
| 感情ジャーナリング | 内的自己意識・感情コントロール | 1日3感情を記録・共有 |
| SJTミニワークショップ | 対人受容力・アサーション | 実案件をケースに30分討議 |
「何か月で何ポイント上がる」という数字は載せていない。 上げ幅は測定尺度・実施密度・母集団で変わるため、他社の数値をそのまま期待値にすると必ず外れる。施策の前後で同じテストを取り、自社の実測で効果を判断すること。前章のベンチマークは、そのための基準線でもある。
内部トレーニングで平均を底上げできれば、スクリーニング基準を年々引き上げられる好循環が生まれる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 日本人のEQ平均はいくつですか?
公式な数値は公表されていません。2018年の国別比較で日本は世界最下位と発表されましたが、発表に含まれるのは順位のみです。ネット上で見かける具体的な点数は、出典をたどっても発表元の資料に行き着きません。
Q2. EQの平均値はいくつですか?
国際的な標準尺度(SEI)では平均100・標準偏差15に標準化されています。ただしテストごとに尺度が異なるため、「100」の意味は受けたテストの方式で確認する必要があります(本文2-4参照)。
Q3. EQはいくつからが「高い」といえますか?
SEI型(平均100・SD15)なら115以上が上位およそ16%の目安です。ただし採用で使うなら、外部の数字ではなく自社平均+1SDを基準にするのが実務的です(本文4章参照)。
Q4. EQの平均は上げられますか?
上げられます。ピアフィードバックや感情ジャーナリングなどの施策で底上げが狙えますが、上げ幅は尺度・実施密度・母集団で変わるため、施策の前後に同じテストで実測して判断します(本文5章参照)。
6. まとめ|次に取るべきアクション
この記事の要点: 世界平均はSEIで100。日本は順位(世界最下位・2018年)のみ公表で数値は非公表。職種別の公表データは存在しない。だから基準は自社のデータでつくる。
- 既存社員50名以上でEQ測定し、平均・中央値・SDを算出
- ハイパフォーマー群の平均をゴール値に、採用ラインを3段階設定
- BIダッシュボードで四半期ごとにベースラインを更新し、採用ROIを継続追跡
まずは無料EQテスト(登録不要・24問3分)で測定の感触を掴み、全社測定は標準化されたアセスメントで行うのが近道です。自社のEQ平均を“見える化”することで、離職リスクを抑えた精度の高い採用へ一歩踏み出せます。
採用の悩みを根本から解決したい企業様へ
株式会社ZenXでは、EQ測定を含む包括的なタレントアセスメントツール「ZenTest」を提供しています。スキル・行動特性・EQなどを多面的に可視化し、採用判断の精度向上を支援します。また、採用戦略の設計から実務代行まで対応する「ZenStrategy」により、採用プロセス全体の最適化も可能です。採用でお悩みの企業様は、ぜひ一度無料相談をご活用ください。
参考文献
- Freedman, J. et al. (2025). The Emotional Recession: global declines in emotional intelligence and its impact on organizational retention, burnout, and workforce resilience. Frontiers in Psychology. (166か国・28,000人、2019–2024年)
- Six Seconds. State of the Heart. SEIの標準得点は平均100・標準偏差15
- シックスセカンズジャパン(2019)「EQ世界ランキング 160の国と地域」2018年版の国別比較

